猫の慢性腎臓病(腎不全)シニア猫がもっともかかりやすい病気

病気
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猫の慢性腎臓病は、シニアの猫ちゃんがもっともかかりやすい病気となります。猫のシニア期は個体差はありますが、11〜12歳くらいからとなります。

猫は飲水量が少ないため尿が濃く、その分腎臓に負担がかかります。肉食動物の猫ちゃんは、タンパク質摂取量が多く、代謝の過程でたくさんの老廃物を作ってしまうため、更に腎臓に負担がかかります。

腎臓は、ネフロンと呼ばれる組織の集合体です。慢性腎臓病では、このネフロンが壊れてしまい、血液中の老廃物を排出できなくなります。壊れたネフロンは再生しないため、徐々に進行していきます。

* 参照 獣医師 重本仁先生

 

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慢性腎臓病(腎不全)のステージ

⚪ステージ1

症状がほとんど出ない時期で、血液検査でも異常は見られません。尿検査で蛋白尿が見られることがあります。

 

⚪ステージ2

多飲多尿の症状が見られ始めます。食欲はありますが、高濃度のおしっこをするようになり、腎臓の機能が1/4程度まで低下している可能性もあります。

 

⚪ステージ3

食欲がなくなり、口内炎や嘔吐、体重減少などが見られます。脱水症状にもなりやすく、注意が必要です。

 

⚪ステージ4

尿毒症や、腎臓病の末期の状態です。積極的治療が必要となります。

 

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慢性腎臓病の治療

猫ちゃんの慢性腎臓病は、病気の進行を遅らせることを目的として治療していきます。

⚪初期(〜ステージ2)

治療は食事療法から始まります。食事療法の有効性はデータでも証明されています。

低タンパク質、低リンの腎臓病の療法食となります。食事療法はずっと続きます。

2017年に発売された、ベラプロストナトリウム(ラプロス)薬もあります。進行を遅らせる効果が望めます。

 

⚪中期(ステージ3)

脱水症状を改善するために、皮下輸液(点滴)をします。皮膚の下に100〜300ml程度の水分を注入します。猫ちゃんの状態によって、月2回〜毎日行います。回数が多い場合は、獣医師の指導の元、飼い主さんが自宅で行う場合もあります。

 

⚪後期(ステージ4)

フードが食べられなくなると後期となります。猫ちゃんはフードが食べられなくなると、肝リピドーシスを発症し、命にかかわる場合があります。栄養チューブを検討しなければならないこともあります。

 

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慢性腎臓病の治療の進化

猫ちゃんの慢性腎臓病にも、新薬の開発や、再生医療、透析治療など、進化が見られます。

 

⚪AIM遺伝子

AIM遺伝子は、腎臓機能を改善する働きがあるそうです。猫にも効果が見込め、平均寿命が15歳から30歳くらいになるのでは、とも言われています。東京大学・宮崎徹教授が、商品化に向けて更なる研究が進められています。

 

⚪再生医療

再生医療は、猫ちゃん自身の本来の力で治す、猫ちゃんの自然治癒力を上げることを目的としています。猫ちゃんにとって負担や、副作用が少ない治療法です。

脂肪幹細胞移植は、炎症が関係する病気に対応しています。脂肪をとって培養し移植します。

再生医療は自由診療となるので、費用が高額となります。

 

⚪透析

透析には、血液透析と腹膜透析があります。

血液透析は人が行っている透析と同じで、血液をろ過装置にかけて老廃物を取り除き、体内に戻す治療です。動物専用の透析装置が必要で、取り入れている病院は、まだまだ少ないのが現状です。

腹膜透析は、猫ちゃんのお腹に専用のカテーテルを装着し、そこから透析液を入れ、腹膜を介して老廃物を透析液の中に取り込み、透析液を排出することで、老廃物を体内から除去する治療です。以前から行われていた治療法ですが、慢性腎臓病の後期の猫ちゃんに対しては、行わない病院もあります。

 

 

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まとめ

慢性腎臓病は、現時点では完治する治療法がなく、食事療法が主流となります。病気が進行すると、ラプロスや、皮下輸液などの治療も加わります。

猫ちゃんは痛みを隠すこともあり、病気になっても気づくのが遅れがちなので、日頃からスキンシップを兼ねて、体全体を撫でたり、様子を観察しましょう。

シニア期に入ったら、フードの見直しをしましょう。症状がなくても、腎臓病予防のフードに切り変えるのも良いでしょう。

進行を遅らせることが目的の治療のため、早期発見が大事です。元気があっても、多飲多尿が見られたら病院に相談しましょう。

 

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