猫の知能は一体どれ位なのか、飼い主さんであれば一度は考えた事がある疑問だと思います。
人間で言うと何歳なのか、犬とどちらが賢いのか、どれ程の事を理解しているのか、様々な議論が飛び交っています。
ここでは、そんな猫の知能について触れていきます。
猫の知能は人間の3歳児と同じ!
猫の知能は、人間に例えると2-3歳と言われています。
これは、ピアジェの発達段階を定義とした、実験結果に基づいています。
彼の実験によれば、0-2歳の人間は、目の前にある物をスライドで隠すと、その物が世界から消えてしまったかの様に振る舞います。
成長と共に、スライドの後ろに物が存在している事を理解しますが、実験より猫も物の永続性を理解していると分かりました。
しかし、もう一段階進んだ認知テストでは結果は異なりました。
物体Aをある容器に入れ、一度その容器を隠し、次にその容器が現れた時に、物体Aがその中に入っている事を予想します。
これは2歳の子供の殆どが出来ます。
一方、猫は物体Aを大好きなご飯に代えても、理解する事が出来ませんでした。
上記の認知能力のテストの結果より、猫の取る行動が、2-3歳の子供の行動や判断とよく似ているという定説が出来ました。
しかし、人間や犬と比べて、猫の知能に関する研究は驚く程進んでいません。
これは、猫の自由気ままな性格上、繰り返しの実験を行い正確なデータを出す事がが難しいからです。
猫の知能と犬知能、どちらの方が高い?
猫と比べて、犬は芸達者で賢いイメージがありますが、実際にはどうでしょう。
まず、犬の知能は人間に例えると何歳なのかというと、同じく2-3歳と言われています。
その点だけを挙げれば、猫と犬の知能は同等という事になりますが、実際に猫と犬は全く違う行動を取ります。
その理由の1つは、人間との関わりの歴史にあります。
犬は元々、集団生活をする種で、社会性が高く、他者に協調するのを得意としました。
約15000年前から家畜化が進み、放牧など人間を援助する役割を与えられました。
長い年月の間で、人間の指示に敏感に対応する事が遺伝子に組み込まれていきました。
その分人間に対する依存度も高く、長時間の外出をすれば寂しがりますが、飼い主の言う事ををよく聞き、複数の芸を披露する事が出来ます。
一方猫は、元々単独行動を取る生き物で、自分の意思で行動する事が好きでした。
そんな猫が、人間と共生する様になったのは約4000年程前からだと言われています。
しかし穀物を荒らすネズミを獲る為に、敷地に放たれていたので、人間に対応する必要性はありませんでした。
近年でも猫は気まぐれで、こちらの呼び掛けに応じない事ももしばしばですが、一人暮らしをする人が増える中で、家を空けていても大丈夫だからという理由で猫を飼う人が増えています。
これらの背景より、犬は飼い主に従順という知能を持ち、猫は単独で行動するという質の違う知能を持っています。
言われた通りに行動出来る分、人間目線では犬の方が賢いと思われていますが、得意とする分野がそもそも違うので知能に優劣を付けるのは難しいでしょう。
猫の知能において長けている点
上記の話からであれば、猫の知能は低い様に思えますが、猫には人間と違った部分で得意分野があります。
猫の知能|空間認識能力が高い
猫は、立体的な空間を認識する能力がとても優れています。
具体的には、一度通った道は覚えてしまうので、上の様子が見えない高い場所にも物が無い安全な場所にジャンプして登る、段差や距離があり入り組んだ場所でも上手く登り降りする、等といった事が可能です。
猫の知能|狩りの能力が高い
猫の知能は、狩りをする場において大いに発揮されます。
ただ真っ直ぐ追いかけるだけでなく、先回りして待ち伏せをします。
獲物に接近する際に、あえて遠回りをする事がありますが、これは獲物に猫の居場所を勘違いさせて騙す為です。
猫が獲物を見つけ、追跡を始めてからの狩りの成功率は、50%と言われています。
因みに、同じネコ科の中でもライオンは20%、トラは20%である事と比較して、2回に1回狩りが成功するというのは非常に高い勝率です。
猫の知能|記憶力が高い
非常に記憶力が良く、一度体験した事は忘れないと言われています。
それは、嫌いな場所、嫌いなものにおいて特に発揮されます。
病院が嫌いな猫であれば、病院に行く際にキャリーケースを出すだけで逃げ出す子もいます。
更に、瞬間的に見たものを覚える短期記憶能力については、人間よりずっと優れているという実験結果が出ています。
しかし、この記憶力が発揮されるのは猫が興味のあるおやつに限られるそうです。
猫の知能は高いのか
猫の知能は、認知能力を基準にすれば人間の2-3歳です。
けれど、2-3歳の人間以上の知能は持ち合わせていないのかというと、そういう訳では無く、猫には優れている分野と得意ではない分野があります。
猫は飼い主の行動をよく見ており、ドアノブを回して部屋から出る、人間の水洗トイレで排出をする、などといった行動を取る子もいます。
最近では、自分の名前とご飯など日常的によく聞く単語とそれ以外を区別している事も、研究で明らかになっています。
よって、猫の知能を人間に当てはめて考えるのは、難しいでしょう。
また、猫の知能が発揮される度合いは、猫の気分や好み、性格により異なります。
しかし、猫は人間と共に生活する事により様々な経験をし、知っている事や出来る事を増やせるでしょう。