猫は痛みに強いと言われますが、根拠はありません。
野生時代は、痛みを見せてしまうと外敵に襲われるため、痛みを隠し、回復するまで安静にしていました。その名残か、家猫ちゃんも痛みを隠しがちです。
痛みのサインを読み取り、いち早く気づいて病院を受診しましょう。
*「動物いたみ研究会」今井彩子先生 参照
猫ちゃんからの痛みのサイン
猫の痛みのサインは、なかなか気づけないことが多いです。症状が進んでから気づくことも多いです。
「いつもより大人しいと思ったら、痛みを我慢していた…」なんてことはないように、ほんの些細なサインかもしれませんが、見逃さないように日頃からよく観察し、サインに気づいたら病院を受診しましょう。
休むの時に見られる痛みのサイン
- 部屋の隅や、薄暗いところに居る
- いつも行かない場所で寝ている
- 人が触ると唸る
- 同じ部位を執拗に舐める
いつもと違う場所で寝ていたり、薄暗い場所に隠れているのは、襲われる心配がない場所だからでしょう。この時の猫ちゃんは、具合が悪い状態でしょう。感染症や怪我など、あらゆる病気や怪我が考えられます。
飼い主さんとのスキンシップを嫌がったり、同じところを執拗に毛繕いしている場合は、その箇所の痛みが疑われます。
さらに痛みが強くなると、
- いつもより長くぐったりと寝ている
- 横に足を投げ出して寝ない
- 重篤な病気が進行していたり、怪我の状態が深刻な場合は痛すぎて眠れない
走る&歩く時に見られる痛みのサイン
- 足を浮かせる
- 足を引きずる
- 足運びがぎこちない
- 少しの段差でも上がらない
足をかばう動きには、骨や関節の痛みが疑われます。
落下事故、猫ちゃん同士のケンカでの怪我や、シニア猫に多い関節炎などの可能性があります。
骨や関節の痛みには、体重管理と運動が大事になります。痛みが強くて運動をしない猫ちゃんは消炎鎮痛剤を処方してもらいましょう。
トイレの時に見られる痛みのサイン
- 何度もトイレに行く
- 排泄のポーズをするも出ない
- つらそうな声を出したり、唸る。あお〜んと鳴くことも
トイレの時に見られるサインでは、泌尿器系の病気の可能性が高いです。
尿結石や膀胱炎などが代表です。腸内に異物や腫瘍があり痛みが強い排泄痛で声をあげるケースもあります。
人間でも辛い、尿結石や膀胱炎。他の病気の可能性もありますので、サインが現れたら、すぐ受診しましょう。
食べる時に見られる痛みのサイン
- フードをこぼす
- いつもより食べるのが遅い
- 顔を傾けて食べる
- 食べる量が減る。または、食べない
- 声を出しながら食べたり、変な音を出す
食べづらそうにしている時は、口の中に痛みがあるサインです。歯周病、歯の吸収病巣や、口内炎などがあります。
胃炎や食道炎、怪我をしている時にも、食べづらそうにしている場合があります。
遊ぶ時に見られる痛みのサイン
- キャットタワーなど、高さのあるものに上がらない
- ジャンプをしない
- おもちゃに飛びつかない
- おもちゃに興味を示さない
- 遊びではないですが、爪とぎをしなくなる
遊ぶ時に見られる痛みのサインは、猫ちゃんの痛みのサインの中では分かりやすい方です。体調不良の時は、遊びに興味を示さなくなります。
目や視線に現れる痛みのサイン
- 飼い主さんを見ない・目を合わせようとしない
- うつろな目をしている
- つり目になり、険しい表情をしている
痛みのサインに気づいたら
猫ちゃんの痛みのサインに気づいたら、鼻が乾いていないか、耳が熱くないか、食欲がある・ないなど、他の症状がないか、確認しましょう。
動物病院では、猫ちゃんの恐怖心が上回り、痛みのサインが出なくなることもありますので、歩き方がおかしい、食べづらそうにしている時など、動画で撮っておくのも良いです。
消炎鎮痛剤の投与で落ち着く場合もあれば、痛みが長引く時や強い痛みの時もありますので、痛みのケアを病院で相談しましょう。
痛みのケア|飼い主さんに出来ること
- ベッドの素材を柔らかいものに変える
- 枕になるような物を置いてあげる
- トイレにスロープを付ける
- 猫ちゃんの好きなところ(おでこなど)を撫でてあげる
ちょっとした工夫が、猫ちゃんにとってのQOL(生活の質)の向上となります。